②心に響く言葉

『  不調のときにしかできないこともある  』

不調の時には不調時にしか出来ないことがある。この「不調の肯定」さえ身につけてしまえば、もはや何も怖いものはありません。恐れるべきは、むしろ好調時だと今は思っています。

楽なことばかりしていると、人間の成長は止まります。昨今の私は「好調の否定」を心がけています。なんだか辛い。毎日が苦しい。何をやってもうまくいかない。そんなときには、どうか上り坂をイメージしてみて下さい。その苦しみは、今よりも高いところへ向かって坂を上がっているが故の負荷です。きちんと上へ前進しているからこそ辛いのです。                                      たとえ今、自分が無駄に足掻いているだけのように感じられたとしても、その苦しい足掻きの中で培った筋力は、必ず未来のどこかであなたを助けてくれるはずです。逆に、なんだか最近は楽だ、毎日ルンルンしている、しばらく苦労をしていない なんてときには、坂道を転がり落ちているときかもしれません。

不調を肯(うけが)い、好調を疑う。これぞ、どーんと生きるための秘訣ではないでしょうか。    ※森絵都(作家)「PHP」7月号より